SSH 高3アドバンスト理系クラス 水環境ワークショップ

2019.8.23

 SSHの取り組みとして水環境ワークショップを8月19日~21日の3日間実施しました。1日目は、本校と琵琶湖博物館で実施しました。本校では、琵琶湖環境科学研究センターの一瀬 諭専門員に講義をしていただきました。琵琶湖の地形や生態系に関する話や、生物の多様性についての話を中心に講義をしていただきました。特に一瀬先生が専門とされているプランクトンの説明では、その種類の多さに驚き、翌日の琵琶湖でのフィールドワークの目的が明確になりました。その後、琵琶湖博物館では、琵琶湖が現在の姿になっていった経過がわかる展示や、多くの琵琶湖固有の生物や他国の湖の淡水生物の見学を行いました。プランクトンを拡大した立体の展示や、水槽内のプランクトンを拡大して見られるモニターでより詳細な姿を観察しました。

 2日目は琵琶湖上と立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)で実習を行いました。琵琶湖では、環境学習船megumi号に乗って北湖と南湖に向かいました。表層水と深層水(45m)、底泥、プランクトンを採取し、簡易水質調査も行いました。特に湖水の温度が表層水と深層水では大きく異なることを自らの手で感じていました。小雨が降ることもありましたが、幾度も湖水をくみ上げてプランクトンネットを通して濾過を行い、無事、実習に必要な試料を集めることができました。その後BKCへ向かい、立命館大学理工学部環境都市工学科水環境工学研究室の惣田 訓教授と一瀬先生の指導のもと、2つのグループに分かれてそれぞれのテーマに取り組みました。

 3日目は、2日目に引き続きそれぞれのグループでテーマに取り組み、分析結果の解析、実験結果の考察を行い、最後にその結果を発表しました。惣田先生をはじめ、研究室の方々に聞いていただき質疑応答の後、講評をいただきました。
 A班は一瀬先生の指導のもとで、北湖、南湖で採集したプランクトンを、計数板を用いて定量的に分析する実習と水質調査を行いました。プランクトンの種類数、細胞数、体積量などについて採取した場所による違いを調査しました。調査やデータの処理は地道な作業ではありましたが、生息域や種類数の違いを、分析を通じて実感しました。また今まで見たことがない多くの種類のプランクトンを観察し、プランクトンに関して新たな興味を持つことにつながりました。
 B班は惣田先生の指導のもとで、5種類の与えられた水試料の採集源を推定するという課題に取り組みました。採取源は、8種類(琵琶湖北湖、南湖、BKC生活排水、BKC浄化槽処理水、BKC水道水、海水、鉱山排水、地下処理水)の候補があり、そのいずれかであるかを特定するというテーマでした。様々な器具を用いて、水の成分測定に取り組みましたが、慣れない実験器具の使用に際しては、使用方法や何を測定するかを丁寧に説明していただいてから測定を行いました。ちょっとした手順のミスから思うような結果が得られないこともありましたが、アドバイスをもとに粘り強く測定を行いました。一日目の講義で学んだ知識も活用し、それぞれの水の特性を調べたり、推測したりしながら、活発に議論を行い、最終的には、根拠をもって採取源を推定し、発表を行いました。2つのグループでそれぞれ予想を行い、2問正解と4問正解でした。惣田先生からは、「非常によく考えて結論を出すことができました。いつもは答えのある問題に取り組んでいると思うが、今回のような未知のものをお互い議論しながら考えていくことが研究の楽しみです。その楽しさを少し味わうことができたことと思います」とコメントをいただきました。

 3日間にわたる水と環境というテーマをもとにした様々な活動を経験することによって、知識を得るだけでなく、科学的な考え方やアプローチを学ぶことが出来ました。この経験を卒業研究に大いに活かし、さらなるレベルアップした研究成果を出したいという気持ちを持つことができる体験となりました。