高2FT 日本初!甑島研修プログラム

2021.4.14

 高校2年FTコースは昨年の新型コロナウィルス感染拡大を受けて、初実施の予定だったニューヨーク研修を取りやめ、3月から約1ヶ月に渡り、高い倫理観の育成を目的に掲げ、甑島研修プログラムを実施してきました。甑島(こしきじま)は鹿児島県薩摩川内市の西にある離島で、2003年にドラマ化もされた漫画『Dr.コトー診療所』の舞台となった島です。
 事前学習では、38年間下甑島手打診療所を守った本物のDr.コトーである瀬戸上健二郎先生にも鹿児島からオンラインでご講演いただきました。また、滋賀の地域医療を支える永源寺診療所の花戸貴司医師からもご講演いただきました。どちらも講演時間より質疑が長く、医師を目指している生徒だけではなく、自分のこととしてどちらのお話も聞いてくれたと思います。偶然にも2人とも「島を歩く島民と話してきてほしい」と甑島研修へエールを送っていただきました。事前学習は他にも、滋賀医科大学上本学長による臓器移植の講演や事後学習で作成する新聞作成のノウハウを朝日新聞社外園主査にお話をいただきました。
 充実した事前学習を終えて、3月23日から2泊3日の研修を実施しました。到着まで新幹線と高速船を乗り継ぎ夕刻に到着。翌日は、朝からひたすら取材活動。川内原発を抱えることの行政の気持ち、島を支える漁業者に話を聞き、そして今の3代目Dr.コトーこと齋藤学氏の講演、島の新しいエネルギー山下賢太さんの講演と丸一日全力で駆け抜けました。
 プログラムの中でも特に印象に残ったのは、やはり3代目Dr.コトー齋藤学氏とのプログラム。斎藤先生は事前に見てきて欲しい箇所を挙げていただき、そこを見学に行きました。一つは浮桟橋。もう一つは、ヘリポートでした。「緊急事態になれば、さまざまな協力でこの島の医療を支えている。その状況はここにこないとわからない」と言うことから設定された2つの見学地。浮桟橋は手打診療所近く、本土に漁船に協力していただき搬送する場所。また、夜間の緊急事態には自衛隊の協力でヘリポートからドクターヘリを飛ばすと言うことでした。自衛隊にも協力をいただき、特別にヘリポートも見せていただきました。斎藤先生は「瀬戸上先生のようなDr.コトーはもう出ない」といい、順に支える離島医療を生徒に話されていました。最後は島の見送りということ気持ち溢れるいっぱいの紙テープで私たちを送り出してくれました。
 学校での事後学習では、事前に打ち合わせしておいた記事を生徒達は各自で執筆。記事をまとめ朝日新聞大阪本社に編集を依頼。4月12日(月)に完成したものを生徒達に配布しました。今回の新聞の講評をオンラインで事前学習を担当してくれた外園主査がしてくれました。「こんな新聞見たことない。大体旅日記になってしまうが、みんなの記事は取材に基づいた新聞になっている」「しかし、本物の新聞にはまだ事実の掘り下げが足りない部分がいくつもある。読み手をより意識して文書を書いてほしい」と愛の溢れる講評をいただきました。
 私学にしかできないプログラムということで宿泊を伴う修学旅行の実施は甑島では初めてのこと。地元紙の南日本新聞でも取り上げていただいたほどの注目度の高いプログラムになりました。新型コロナウィルスの感染拡大の中、多くの皆様の協力によりこの研修を実施出来ました。ここに報告し、一連のプログラムを終了したいと思います。(細川典敬)