高校 「2024年度くじらの博物館研修」を実施しました

2025.2.4

2月1日から2日にかけて「2024年度くじらの博物館研修」を実施し、高校3年生14名が参加しました。本研修では、和歌山県太地町にある太地町立くじらの博物館およびその周辺地域でのフィールドワークを通じ、くじらの生態や進化に加え、捕鯨に関わる国際的・文化的背景について学びました。

【1日目】
午前:講義と展示見学
初日は、太地町立くじらの博物館にて、副館長兼学芸員の中江環さんから「くじらの種類・進化・骨格・生態」に関する講義を受けました。講義では「一般にイメージされるくじらはどんな姿か?」「くじらとイルカの違いは何か?」「エサは何を食べるのか?」といった問いを交え、実際のくじらの骨、髭、油などに触れる体験もあり、体系的な知識を深めることができました。

続いて、アメリカ・ニューベッドフォード捕鯨博物館での勤務経験を持ち、現在は太地町歴史資料室の学芸員を務める櫻井敬人さんから、捕鯨の歴史についてのお話を伺いました。館内3階では実際に使用されていた捕鯨船や模型を見学しながら解説を受け、当時の様子が目に浮かぶような印象的な体験となりました。また、2階では中江さんから展示に込められた思いやこだわりについて説明があり、深い学びにつながりました。

午後:地域の味覚を体験
研修後は宿舎に戻り、地元那智勝浦の新鮮な刺身やクジラ鍋を堪能しました。

【2日目】
早朝:水揚げ場見学
翌朝6時半、太地町漁業協同組合の専務理事である貝さんの案内で水揚げ場を訪れ、追い込み漁で使用される船や捕鯨船についての説明を受けました。

午前:博物館での再学習
宿舎に戻り朝食を済ませた後、再びくじらの博物館の講義室にて、貝さんから漁協の概要、江戸時代から続く太地町の伝統漁から近代捕鯨への変遷、さらに反捕鯨団体の活動について詳しく説明を受けました。捕鯨に対する賛否両論はあるものの、捕鯨を生業とする漁協の視点を直接伺うことで、生徒たちは多角的に物事を考える機会となりました。実際、生徒からは「漁業以外の活動(海業)」「漁船の運用」「くじら漁文化」「コロナ禍以降の反捕鯨団体の変化」など、幅広いテーマに関する質問が寄せられました。

午後:現地体験とエンターテインメント
その後、実際にイルカ類の追い込み漁が行われている入り江を見学し、昼食にはくじらのカツ丼を味わいました。午後は博物館に戻り、イルカショーおよびクジラショーを鑑賞。さらに、イルカへの餌やり体験も行い、直接体感することで理解を深めました。

【研修を終えて】
2日間という短い期間でしたが、生徒たちは専門家の講義や現地でのフィールドワークを通じ、くじらの生態や捕鯨文化について深く学ぶことができました。また、捕鯨にまつわる文化、歴史、生態系との関わりについて自ら考察する貴重な機会ともなりました。4月から新たな環境へ進む生徒たちにとって、この経験が今後の学びや活動の大きな糧となることを願っています。