高校 2025年度 サイエンスキャンプ伊豆大島研修
2025.10.2
9月21日から23日にかけて、理系生徒を中心とした高校生20名が参加し、「2025年度 サイエンスキャンプ伊豆大島研修」を実施しました。火山島・伊豆大島はまさに“生きた教科書”ともいえる環境で、生徒たちは大地と海のつながりを体感しながら学びを深めました。
【1日目】
夕方に京都駅に集合し、新幹線と山手線を乗り継いで竹芝港へ。夜のフェリーで伊豆大島へと向かいました。船内では翌日のフィールドワークに備えて休息をとりつつ、甲板に出て東京湾の夜景や潮風を感じながら、旅の始まりを実感しました。
【2日目】 三原山フィールドワーク
早朝に到着後、休憩と朝食をとってから三原山へ。火口付近では、水蒸気のような白い煙が立ち上る様子を間近に観察し、火山島ならではの迫力を体感しました。
三原山登頂では、荒々しい火口の姿とともに、形状が異なる珍しい「アア溶岩」と「パホイホイ溶岩」を観察し、地質学的な理解を深めました。
その後は1986年噴火の溶岩流跡で植生調査を実施。班ごとに区画を設定し、植物の種類や被度、落葉層や土壌動物の有無を調べることで、自然の回復過程を学びました。さらに「再生の一本道」では、火山草原から低木林、混交林へと進む植生の遷移を比較し、自然が時間をかけて再生していく姿を“目で見る”ことができました。
夕方にはホテルにチェックインし、市石博先生(東京都立国分寺高校)による現地講義を受講。植生についての学びを整理しました。夜は晴天にも恵まれ、澄んだ夜空に広がる星々を眺めながら、自然のスケールを感じ取りました。
【3日目】 海洋生物実習と地質観察
最終日は、かつては大きな火山島だった筆島を観察した後、波浮港で海洋生物実習を実施しました。その後、地層大切断面にて数万年の火山活動が刻まれた壮大な地質構造を観察し、火山博物館を訪問して大島の火山の歴史を学びました。現地での昼食後、午後の高速ジェット船で本州へ戻り、予定通り京都駅で解散しました。
【研修を終えて】
今回の研修では、火山島・伊豆大島という“生きた教科書”の中で、火山の迫力と自然の再生力を全身で学ぶことができました。特に植生の調査を通じて「遷移」という教科書上の概念を実際に見ることができたことは、生徒たちにとって大きな発見となりました。火口付近から立ちのぼる水蒸気や地層大切断面の観察など、自然のダイナミズムを直接感じ取った経験は、今後の学びをさらに広げる大きな糧となることを期待しています。