「メディアアートワークショップ at リツモリ」を開催しました

2025.12.2

【実践レポート】ものづくり×メディアアートワークショップ

2025年11月26日(水)に、立命館守山高等学校で、デジタル技術とアート的思考の融合を目指し「メディアアートワークショップ at リツモリ」を開催しました。
本ワークショップは、滋賀県で活動するメディアアーティストとファシリテーターを講師に迎え、テクノロジーとアートが融合する「ものづくり」の世界を体験する半日完結型のプログラムとして実施されました。

本取組は、「令和7年度滋賀県文化を活用した地域交流創出事業」により実施され、一部はR2030 グラスルーツ実践支援制度に採択された「AIとともに育てる、学園横断型英語教育モデルの構築」(代表:山内 優馬教諭)の活動として行われたものです。

1. 異色の講師陣による「メディアアート」体験

講師を務めたのは、メディアアーティストの唐神一樹氏と、本校の卒業生でアーティスト・ファシリテーターの竹本智志氏(本校卒業生2016年)です。二人は今年度、メディアアート作品「Abstraction: 風」を共同制作しています。
メディアアートという先端的なアートの制作に取り組む二人の姿から、生徒たちは既存の枠組みにとらわれないキャリアパスや、テクノロジーとアートという異分野の融合から生まれる新しい表現手法について学ぶ貴重な機会を得ました。

ワークショップは、アートやものづくりに関する専門知識を必要としないオープンな形式で行われ、生徒たちはリラックスした雰囲気の中で、未知のテクノロジーに触れる時間を楽しみました。

2. 【前半】AIとつくる電子回路・先端デバイス体験

前半の「ものづくりワークショップ」では、普段触れることのない特殊なデバイスの体験と、AIを活用した電子工作に挑戦しました。

「出力」の体験:パラメトリックスピーカー
超音波を使って特定の場所にだけ音を届ける「パラメトリックスピーカー」の原理を学習。音がビームのように飛ぶ不思議な感覚を体験し、テクノロジーによる新しい表現の可能性に触れました。

「入力」の体験:LiDAR / ToFセンサー
自動運転技術などにも使われる「LiDAR(ToFセンサー)」を使用し、光で距離を測る仕組みを体験。目に見えない距離情報がどのように数値化され、コンピュータに取り込まれるか(IoTの基本原理)を学びました。

AIとつくる電子回路
「Lチカ(LEDを点滅させる回路)」などの基礎的な課題に対し、生成AIを対話のパートナーとして活用しながらプログラミングを行いました。AIを「先生」や「ツール」として使いこなし、自由に電子回路を設計することで、テクノロジーが単なる機能ではなく、創造的な表現ツールになり得ることを実感しました。

3. 【後半】アーティストトーク&作品の裏側解説

後半は、技術的な学びをどう表現に昇華させるかを考えるセッションを行いました。

アーティスト・トーク
講師自身のキャリアパスを元に、「『メディアアート』とは何か?」「アーティストという生き方」についてトークセッションを実施。「好き」を仕事にすることのリアリティや、多様なキャリア形成の可能性について、生徒たちは熱心に耳を傾けました。

Work in Progress(制作プロセスの公開)
実際に講師が制作したアート作品の展示を見ながら、そのコンセプトや技術的な裏側(仕組み)を解説。前半で学んだセンサーやプログラムが、実際の芸術作品のコンセプトを反映するためにどのように使われているかを知ることで、テクノロジーに関する学びとアート的な実践が結びつく瞬間となりました。

4. 参加者の声と今後の展望

参加した生徒にはArduino開発キットが進呈され、ワークショップ後も自宅で探究を続けられる環境が提供されました。
立命館守山高等学校では、今後もAIをパートナーとして活用することで、文系・理系の垣根を超えて誰もがテクノロジーを自在に応用できる学びを推進します。一人ひとりがAIと共に自律的に学習を深め、創造性を形にしていける次世代の教育モデルを探求してまいります。

5. 実施概要
日時: 2025年11月26日(水)13:00 – 17:00
場所: 立命館守山中学校・高等学校 技術室
主催: 立命館守山中学校・高等学校
共催: 合同会社紫洲書院
協力: 一般社団法人インパクトラボ