高校FTコース 第3回FTNY朝日新聞連携講座「NYと繋がる、取材を考える」

2020.7.30

 7月29日(水) に3回目の朝日新聞連携講座を実施しました。この連携講座はFTコースニューヨーク研修の事前学習として行われています。第1回、第2回はオンラインで行い、3回目となる今回は朝日新聞大阪本社外園周二主査が生徒の間に登場しての授業となりました。
 今回のテーマは『「取材する力」をつけよう』と題し、NY研修では現地で多くの人の話を聞き、それを新聞の形でまとめることにしています。冒頭、外園主査は「取材=向き合う」と力強い言葉で始まりました。
 今回の講座は盛りだくさん。人に話を聞く最初としてZoomを使ってニューヨークに接続。ニューヨークに住んでいる立命館慶祥の卒業生の吉川恋門さんに、現在のニューヨークの様子や生活について話してもらいました。
「2週間に一度しか買い物に行きません。それにしても驚いた。この前買い物に出たときは地下鉄は満員でした」
「Black Lives Matterも日本で報じられるときにはすでに時差がありました。そしてこの問題は、アメリカにある多くの隠れていた差別まで浮き彫りにしていると感じます」
という現地でしか感じられない空気を言葉にして伝えてくれました。生徒からは「2020アメリカ大統領選挙」や「日米のコロナ対策の違い」に加え、「Black Lives Matter」などの差別問題について掘り下げて聞いていました。アメリカの社会問題について、生徒は、普段のニュースでは聞き流してしまう内容でも、実際に生活している人の説得力のある言葉を聞くことで、現状の深刻さが伝わっているようでした。
 後半では、外園主査から、「取材する力」をつけるために必要なことについて、「何を伝えるか」(事前の準備)と、取材・インタビュー中の作法について直接の講義をいただきました。
「書きたいことは取材の前には決まっている。しかし予想したことと違っていることが起こる。それこそニュースであり、あなたの「発見」なんです」「アウトラインはしっかり作っていくけど、その通りにならないこともある。記事ならないこともある。しかし、ただやみくもに対象と向き合ってはいけない」取材の奥深さを熱い言葉でいただきました。
 最後には、デジタル新聞を使って生徒が提出したスクラップ記事についての解説・評価をしていただきました。東京本社版と大阪本社版の朝刊の一面記事の読み比べも行いました。地域により、同じニュースでも記事の「見出し」・「構成」・「レイアウト」が異なり、読者に判断を求める記事の存在にも触れて、講義を終了いたしました。

 コロナ収束の見通しが厳しい状況ですが、ニューヨークに向かって一歩ずつ進んでおります。

【生徒の感想】
・最初のZoomでは自分の中でニューヨークに対する知識が足りていないなと感じた。特に自分はアメリカのどこでもBLMの抗議活動が過激化していると思っていたのでもっと知るべきなんだなと感じた。また外園さんの話では記者の人がどのような気持ちで私たちに記事を届けようとしているのかを知ってこれからはそういう記者さんの思いを知りながら新聞を読み進めたいなと思った。記事の構成に関しての話は非常に興味が湧いた。

・NYと繋いでお話を聞いた時、差別やコロナの話を沢山してくださった中、世界の中心であるNYで色々な物事を見るというのはすごい経験だと思いました。罹患者が桁違いである事はコロナの事を思うと危険かもしれないけれど、それ故に考えさせられる事も多いだろうし多方面での自分の考えが持てると思いました。また、新聞は沢山情報を与えてくれるけどだから何と当事者意識を持てずにいた自分がいました。しかし、外園さんのお話を聞いて、その情報をもとに自分が判断して考えを持つ、そして行動を起こす事が大切だと思いました。

・私は日々アメリカの差別は白人vs黒人だと思い込んでいたが実際の体験談を聞いて、誰もがマスクなどの文化の悪口を言うだけで差別の加害者にもなりうるし被害者にもなりうることが分かった。ニュースだけの連想は危ないと思った。また、東京の新聞と大阪の新聞でも記事の大きさや見出しで印象はかなり変化するし今後の新聞の見方が変わると思った。