高校サイエンスAP 理工学部・和田浩史教授による「ミウラ折り」の話

2023.6.13

6月8日(木)に、BKCのコラーニングハウスⅡにて高校3年のAPⅠの授業で、理工学部の和田浩史教授より「かたちの物理学」というタイトルで「収納と展開」についてレクチャーしていただきました。

 「地球上の生物は様々な形をしていて、いろいろな動きをしている」という話から、「この世界にある生物や地表や宇宙など実に多様な現象があるが、その背後にはそれらをすべて貫く法則があり、その仕組みを理解しようとするのが物理学です」と説明がありました。

 今回のテーマは「収納と展開」で、「狭い場所に収納する際の『折りたたみ』の中にある法則について考える」ことが目標です。そして、「テントウムシの羽を出すようす」や「アサガオの花びらを開花させるようす」のビデオを見て共通点を見つけ出そうという話から、その中にある物理法則の一つを解明したのが「ミウラ折りです」と紹介がありました。
 「ミウラ折り」とは、東京大学宇宙航空研究所の三浦先生(現在は東京大学名誉教授)が考案した折りたたみパターンで、四角形を基調として屏風状に山折りと谷折りが交互に来る折り方です。紙の左右・上下や対角線で押したり引いたりすると。簡単に折りたたんだり展開したりすることができるのが特徴です。

 そこで、この「ミウラ折り」を生徒が実際に紙を折って、その構造と特徴を理解することを体験しました。はじめは折り方が分かりにくいので生徒は苦労していましたが、少しずつできてくるとその仕組みを感じながら折り進めることができました。生徒たちは、完成した「ミウラ折り」の折りたたみや展開のようすを見て、この構造のすばらしさを実感しました。


 最後に、和田先生から「ミウラ折りは、3つの山折りと1つの谷折りが1つの点で交わっていることが特徴ですが、この構造は自然界の色々なところに存在しています」と話され、「それは、この形はエネルギーロスが一番少ないので、起こりやすいのです」と説明されました。現在では、さらに応用した「衝撃に強いメタマテリアル」などが開発されているとのことでした。生徒は、「自然現象から原理を学び、さらに応用して開発する」という技術の流れを体験して学ぶことができました。