高校サイエンスAP スポーツ健康科学部の3名の先生による講演

2023.6.20

6月15日(木)に、BKCのインテグレーションコア・ラルカディアにて高校3年のAP Ⅰの授業で、スポーツ健康科学部の3名の先生より、スポーツ健康科学部での学びについてレクチャーしていただきました。

初めに篠原靖司教授から、「解剖から考えたスポーツ傷害の病態解明と現場への応用」というタイトルで、スポーツにおける傷害の発生の原因や予防についての研究や、実際のトレーニングの方法についてお話がありました。まず、スポーツ傷害予防研究では4段階で研究を進めていくモデルがあり、例えば「足の捻挫」であれば「原因・傷害調査・治療方法・予防」などが研究の対象になっていきます。具体的には「野球選手の足の指や関節が痛い」という現象があり、ボールを投げる時の足の動きを分析して「足の小指側のみ使っている」ことが分かり、全体の指を使うトレーニングを実施して、足全体の筋肉を使うようになって改善させていくという研究をしています。

次に長野明紀教授から、「身体運動の『仕組み』を解き明かす」というタイトルで、バイオメカニクス(生体力学)についてのお話がありました。バイオメカニクスとは、生物学と力学が合体したような学問であり、正確に運動を記録することができる測定器やカメラなどを活用して「どの筋肉が働いて、どのような運動が実行されているか」を分析・研究しているというものです。将来的には「スポーツを通じたQOL(クオリティ オブ ライフ)を目指している」という研究でした。

最後に藤田聡教授から、「筋量の増加に向けた栄養摂取と運動」というタイトルで、「栄養摂取と筋量(筋肉の量)の増加や加齢に伴う筋力の低下(サルコペニア)」の研究についてのお話がありました。「筋力が低下すると認知症になりやすくなる」ということが分かっていて、それは「筋肉を動かすことによって、マイオカインという物質が分泌されて、体の様々な細胞が活性化されることによって起こる」ものだそうです。さらに、タンパク質は筋肉を作るのに大切な物質だけれど体に蓄えておくことはできないので、毎日の摂取が大切になり、さらにアミノ酸を補給してから運動することによって筋力がつくので、「朝食でしっかりとタンパク質を取ることが大事だ」ということが話されました。

それぞれの先生からお話があった時に、生徒から「扁平足なんですけど、どうしたら治りますか?」「長く座っていると股関節が痛くなるのはどうしたらよいですか?」「筋肉トレーニングの前と後では、どちらで食事をしたらよいですか?」などの質問が出ていました。生徒たちは、「スポーツをする際にも、健康的に生活するにも、科学的に取り組むことによってよりよい方法が見つかる」ということを学びました。