高校 キャリア講演会を実施しました

2023.10.23

10月13日、講師にNPO法人グリーンズの村崎恭子氏をお招きし、本校メディアホールにてキャリア講演会を実施しました。
グリーンズ(greenz.jp)は2006年から活動を始められ、活動歴は17年目になります。当時はまだ市民による社会活動が珍しい時代でした。そんな中で、少しでも社会を良くする地道な活動を紹介することで支援をしようと始められたそうです。
村崎氏自身の活動のきっかけも、2011年の東日本大震災でした。あの時は、多くの日本人が茫然自失となり、矢も楯もたまらずボランティア活動に向かう人が東北に向かわれました。海外で暮らしていた方が、急遽日本に帰国されて社会活動を始められたケースも多かったようです。村崎氏も衝撃を受けたお一人で、震災をきっかけに勤めておられた会社を辞め、加古川市内で自らの拠点となるお店「メルとモノサシ」を経営しながら、グリーンズの活動に参加されておられます。お店の方針で大事にされておられるのが「エシカル」であること。つまり商品を製造・販売する上で誰かを傷つけることのないブランドを扱うことだそうです。
講演は、「今の社会は、あなたの「ほしい未来」ですか?」で始まりました。そして、そういう未来は「自分たちでつくれる」という言葉が続きます。これが活動を始めたばかりの人や団体なら軽いものと映ってしまうかもしれませんが、そこは活動歴17年の団体なので、大いに説得力があります。そしてそうした社会を作る上で重要な「ソーシャルデザイン」という概念を紹介していただきました。デザインとは紙の上だけでするものではなく、社会に対してもできる、ということです。
続いて本校の探究活動の参考になる、近畿地方での活動を紹介していただきました。一つ目の事例は、村崎氏と同じく大企業を辞めて宝塚の片隅にある里山地域西谷地区の人たちと都会の若者をつなぐ活動をなされている「里山ラボ」の龍見氏の活動の紹介でした。活動の背景となった龍見氏の想い、それに応えた里山地域や都会の人たちの交流が目に浮かぶようでした。
二つ目の事例は多国籍食堂「SALA」の活動です。この活動をされている黒田氏は、目的が見つからなかった学生時代に、たまたま関わった海外出身の妻たちの日本で暮らす上での孤独を知り、彼女らを救おうと必死に起業をしてその夢を実現されました。母国を離れて言葉が通じる友人もいない、自分が評価されることがほとんどない。そんな毎日で、ほとんど笑うことのなかった彼女らが、母国ではごくありふれた食べ物を日本人が「おいしいおいしい」と言ってくれる、そんな彼女らの笑顔が何よりうれしいご褒美ということでした。
最後に紹介されたのは、ダイバーシティサッカー協会です。サッカーはボール1個があればどこでもできるスポーツと言われますが、それをダイバーシティ(多様性)とつなげる発想には驚きました。活動は大阪市内のあちこちの公園で行われます。その活動はただただサッカーをやるだけ。誰でもどこからでも参加できます。やっていると、本当にいろいろな方が参加されてくるそうです。外国籍の方、公園にたまたまいた日本人の方、そしてゲームが終わった後は、懇親会として近くの飲食店で飲んだり食べたりするだけです。しかし、さっきまで楽しくボールを蹴っていた人が、実はホームレスだったりしたことが分かると、人間というものは何かしたくなる、しなくてはならないと考える生き物なんですね。自然と、そういう人たちを支えるつながりができてしまうそうです。人間が本源的に持っている善意、それを引き出すアイデアには脱帽です。
他にもたくさんの「ソーシャルデザイン」の成果をグリーンズ(greenz.jp)は持っておられます。来年度はそうした事例をもっと紹介していただきたいと考えています。

グリーンズのウェブサイトhttps://greenz.jp/