二つの「三方よし」
─近江商人の精神と学校づくり─
「売手よし、買手よし、世間よし」
江戸時代に全国各地で活躍した近江商人は、いわゆる「三方よし」を商売の基本精神にしていたと言われます。
近江商人がつちかってきた商いの精神「三方よし」。「売り手によし、買い手によし、世間によし」すなわち、「三方よし」。 その意味は、「商いというものは、売り手も買い手も適正な利益を得て満足する取り引きでなければならない。そして、その取り引きが地域社会全体の幸福につながるものでなければならない」という共存共栄の精神を表しています。 〔中略〕「三方よし」という言葉には、他国稼ぎの近江商人が、長い人生経験の中でつちかい、目指した、他者と共に生きる商いの精神がよく表現されており、グローバルな現代社会において、人生を生き抜く重要な知恵のひとつと考えます。次の世代に伝える普遍的な価値のある精神として、広く紹介しています。(1) |
本校では、昨年来「対話」をキーワードに、生徒と教員、教員と保護者、三者間での活発なコミュニケーションを心がけてきました。例えば、高校生徒会執行部と学校執行部による懇談会、中高6学年単位でのPTAクラス役員と学校執行部による懇談会を継続して実施しています。
そして、今年度は、高校生徒会、PTA、学校執行部の三者が一堂に会し、学校運営について意見交換する学校運営懇談会を定期的に開催する予定にしております。生徒には、「教育される」側の立場を越え、学校運営に参画することを通じて当事者意識を高め、人間的成長を遂げてほしいと願っています。教職員は保護者と連携して生徒の成長を見守り、サポートして行きます。
こうした取り組みは、「生徒よし、保護者よし、教職員よし」という「校内における三方よし」の具現化であると言えます。
また、本校は、地域の行政・企業・諸団体との教育連携をすすめています。近年では、起業家教育で連携した守山市役所や、ロボット・吹奏楽フラッシュモブで連携した守山警察署をはじめ、守山商工会議所、守山ロータリークラブ等、地元の皆様との関係づくりがすすんでいます。加えて、滋賀経済同友会や各企業様との連携も広がっており、微力ながら滋賀県地域発展への貢献も自負しているところです。さらには、「Game Changerの育成」方針による新しい教育創造を通じて、日本の教育改革や日本社会の発展に貢献することをも展望しています。
これは言うなれば、「地域よし、社会よし、学校よし」の「社会における三方よし」の追求でもあると言えます。
本校は、滋賀県に位置する私立学校として近江商人の精神に学び、「校内」と「社会」における二つの「三方よし」の実現を掲げて、いっそうの改革を続けて行く所存です。
同時に、教育創造を通じて、国境を越えた世界の「三方よし」が実現することを強く願っています。
注釈
(1) 東近江市 近江商人博物館サイト https://e-omi-muse.com/omishounin/about6.html