雨ニモマケズ風ニモマケズ
─中学3年万博謎解きゲーム大成功─
6月、夢洲会場では大雨・強風というコンディションに負けじと本校中学3年生たちの元気な声が響いていました。
大阪関西万博の会場で謎解きゲームを実施し、お客様に「考える面白さ」をアピールする──。2年4ヶ月を費やした壮大な学年行事が先日、成功裏に終了しました。
この謎解きゲームは、本校中学3年生全員が主催者となって、万博会場を訪れたお客様に万博会場にまつわる複数の「謎」をスタンプラリーのように解いていただき、最後に寸劇で謎を解決し物語の結末を演じるという、参加型の学年行事です(1)。
先日、生徒代表として万博実行委員長の奥田百麻さん、副実行委員長の上野瑞貴さんにインタビューを行いましたので、その様子をご紹介します。
Q:万博で謎解きゲームを始めることになったきっかけは何ですか?
A:謎解きゲームの存在を知ったのは、中学入学後の長浜一泊研修が最初でした。先生たちが謎を作り、市内の観光地である「黒壁スクエア」を廻りながら解くという形式で、とても面白い経験をしました。その経験があったから、1年生の終わり頃、「万博で謎解きゲームを実施します。実行委員をやりたい人集まれ!」という、犬飼先生(キャリア・研究部主任)と稲田先生(学年主任)からの呼びかけに対し、37人の生徒が手を挙げました。
Q:それから本番までの約1年4ヶ月、レベルを上げるためにどのような取り組みをしましたか?
A:万博での謎解きに向けて、文化祭で全クラスが謎解きゲーム企画を実施し、全員が主催側を体験しました。また、実行委員がひらかたパークの謎解きイベントに参加したり、アルプラザでお客さんを相手にテストプレイを行ったり、本番を想定した実演を行い、課題や改善点を見つけました。
A:専門家からのアドバイスはとても役立ちました。ミステリーデザイナーの眞形隆之さんに講演会と文化祭直前と2度来校いただき、謎の作り方や助言をいただいたことがすごく勉強になりました。また、株式会社舞夢プロの藤田美香さんによる演劇おもてなし講座を学校で開催し、演技について学びました。
Q:6月9日から11日までの本番期間中、どんなエピソードがありましたか?
A:とにかく天候が最悪でした。相手の声が聞こえないくらい雨が強まり、強風のため用意したパンフレットが飛ばされそうになった瞬間もありました。でも、寸劇は室内(アフリカンダイニングホールPANAF’)でしたし、なんとかなりました。
A:寸劇の準備中、初めはお客さんが少なかったんですが、壇上に上がると予想以上に集まり、アンケートでも肯定的な反応をたくさんいただけました。また、「本当に中学生ですか?高校生と思って見ていました」と多くの方から褒められ、うれしかったです。
A:本番前日の夜にメンバーのシフト表が完成していないことに気づき、急いで連絡を取り資料のやり取りを行い、日をまたいでシフト表を完成させ、ギリギリ間に合うというハプニングもありました。
Q:今回の取り組みを通じて学んだことや成長したと感じることはありますか?
A:多くの生徒にとって、オリジナルストーリーを作成し、見ず知らずの人に冊子を配布するのは難しい仕事だったと思います。自分自身は、リーダーとして人をまとめる力や人前で発言する力、ハプニングに対処する力が向上したと実感しています。
A:正直、最初は「万博で謎解きなんて無理だ」との声が聞こえていました。でも、今回の取り組みに参加した全員にとって万博でイベントを成功させた経験が大きな自信となり、将来、仕事や公の場でのコミュニケーション力を高める貴重な経験になったと思います。
二人の代表生徒の発言からは、様々な困難を乗り越えて大きな仕事をやり遂げた達成感と自信を感じることができました。
最後に、学年生徒から寄せられた感想をいくつか紹介します。
・冊子配布は苦戦した。はじめは話を聞いてくださる方はほとんどおらず、悲しくて不安だったが、徐々に受け取ってくださる方も増えてきた。質問してくださる方もいて、良い結果になったと思う。 ・劇では急にセリフがわからなくなったりして、もっと練習を積んでおく必要があったと思った。お客さんに「劇良かったよ」「謎解きおもしろかったよ」と言われたことで、今までやってきたことが無駄ではなかったと感じた。 ・冊子のデザインは、初めて見た人が手に取りやすいデザインであることが大事だと感じた。劇では、全く興味がなさそうだった人が劇が進むにつれてだんだん見てくれるようになったのが嬉しかった。 ・最初は「謎解きなんて」と思っていたが、みんなでやることに楽しさを感じはじめ、万博というゴールに向けて走り抜けることができた。みんなと協力して1つのことをつくり上げるのはとても楽しいということを知った。 ・今まで準備してきたことが様々な人に見せられて嬉しいし、今までやってきたことが万博に繋がっている、ということがさらに嬉しい。実行委員や班で仲が深まり話すようになった人もたくさんいる。今回楽しめたのは、今まで私たちに関わってくださった多くの方の支えがあったからこそだと思う。 |
宮澤賢治の「雨ニモマケズ風ニモマケズ」のごとく困難を乗り越え、大きな成長を遂げた中学3年生たち。今後のさらなる活躍が楽しみです。
なお、この企画は、立命館学園が設置する万博連携推進本部の協力と、旭化成株式会社守山製造所様のご支援によって実施することができました。この場をお借りして御礼申し上げます。
注釈
(1) 謎解きゲームの取り組み経過は、本校サイトの下記ページをご参照下さい。
・中2 ミステリーデザイナー眞形隆之氏から謎解き作りのコツを学びました
https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2024/06/17/post-117116/
・中学2年 文化祭でミステリーデザイナーの眞形氏のご指導のもと謎解きクエストを実施
https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2024/09/20/post-134131/
・中3 万博で謎解きイベントを開催しました
https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2025/06/19/post-199320/