多くの「感動」が生まれた二日間
─第20回あすなろ祭大成功─
─第20回あすなろ祭大成功─
人はどのような場面で「感動」を覚えるのでしょうか。私自身の経験から言えば、次の二つに集約されます。
① 誰かが全力で取り組む姿に触れたとき
② 高い完成度の作品やパフォーマンスに出会ったとき
先日、二日間にわたり開催され、延べ13,000人の皆さまにご来場いただいた「第20回あすなろ祭」では、この二つの要素が随所に現れ、数多くの感動を受け取りました。なかでも特に心に残った点を二つご紹介します。
一つは、高校3年演劇に見た「真剣勝負」です。
守山市民ホールで実施された高校3年生の演劇は、どのクラスも見応えがありました。観劇後、ある卒業生が「去年の僕たちを越えてきましたね」と語っていたほどです。
なかでも、3年3組が演じた「3年A組 今から皆さんは、人質です」は、個人的に最も印象に残りました。原作は2019年1月〜3月に日本テレビで放送されたドラマ(全10回、主演・菅田将暉)ですが、私は原作を見ていなかったため、先入観なく作品世界に没入することができました。
多くのクラスがミュージカルやファンタジー、コメディを選ぶなかで、この作品だけは笑いの要素を排し、徹底してシリアスに向き合った点がまず見事でした。主演の教師役をはじめ、教室の生徒役、その他脇役まで、全員が緊張感と迫力のある演技で舞台を引き締めていました。また、全10回の長編ドラマを、20分という枠に不自然さなく収めた構成力も秀逸です。
何より心を打ったのはテーマ設定でした。SNSは自己表現と発信の強力なツールである一方、使い方を誤れば、他者を攻撃し傷つける両刃の剣にもなります。本作は、SNSによるいじめや誹謗中傷という現実から目をそらさず、まっすぐに向き合い、力強いメッセージを観客に届けてくれました。
もう一つ強調したいのは、あすなろ祭を陰で支え切った生徒スタッフのプロフェッショナリズムです。高校あすなろ祭実行委員長・細岡大起さん(2年)が、翌朝の教員朝礼で「僕たち生徒の主体的な企画運営を先生方に支えていただきありがとうございました」と挨拶した通り、取り組みは最初から最後まで「生徒主体」で貫かれていました。
テーマ「冒険」を象徴する特設装飾の正門、保護者のご協力のもとで自作した中庭ステージ、「冒険」コンセプトを反映した完成度の高い当日パンフレット、特設ホームページやInstagramの発信、後夜祭の打ち上げ花火——どれも細部までクオリティへのこだわりが行き届いていました。
クラス、クラブ、有志の発表や展示が十分に力を発揮できたのは、バックヤードで動き続けた生徒スタッフの存在があってこそです。13,000人規模のイベントを成功に導いた真の主役は、間違いなく彼らでした。
第20回あすなろ祭は、生徒が全力で取り組み、高い完成度を追求し続けることで、多くの「感動」を生み出した二日間でした。
生徒一人ひとりの姿勢と、活躍の舞台を支えた仲間たちの努力に、心から敬意を表します。