困難を乗り越えた「合唱の力」
─第18回中学合唱コンクールを終えて─
─第18回中学合唱コンクールを終えて─
今年5月14日、石川県立輪島高校の体育館で、あるイベントが開催されました。それは、合唱作曲家の弓削田健介さんが、能登半島地震で被災した子どもたちの声を集めて作曲した合唱曲「フェニックス」を披露するイベントでした(1)。被災した6つの小中高校の児童・生徒300人が集まり、全国30団体から寄せられた合唱映像に合わせて体育館いっぱいに響くハーモニーを響かせ、その様子はNHKテレビ全国ニュースとして放送されました。
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氷のように止まった時計(とき)を 君はフェニックス |
「フェニックス」とは「何度倒れてもよみがえる不死鳥」を意味します。この日、被災で家族を亡くした方々が客席で見守る中、「何度でも翔び立とう」という歌詞が体育館を覆い尽くしました。これを契機に、全国に復興のメッセージを広める「フェニックス・プロジェクト」第二弾がスタートしたとのことです。
このエピソードを知った時、私は「合唱の力」を感じました。
一人ひとりの声は小さくても、互いの息づかいを感じながら声を重ねることで、「一人では出せない力」を生み出す。「フェニックス」は、被災地の子どもたちの不安や悲しみ、それでも前を向こうとする意志が合唱に結実した曲です。同時に、遠く離れた全国の人々が同じ歌を歌うことで、「能登とつながっている」「忘れていない」というメッセージを生み出しました。
第18回立命館守山中学校合唱コンクールは、全国的に猛威を振るうインフルエンザにより、複数のクラスが学級閉鎖、オンライン授業となり、練習も満足にできない苦境に直面しました。
しかし、そうした困難を乗り越え、当日は全てのクラスが持てる力を発揮し、素晴らしいハーモニーを聴かせてくれました。
クライマックスを飾った3年生の学年合唱「正解」は、全員が持てる力を出し切り、やりきったことをストレートに伝えてくれました。終わった後に指揮者が泣き崩れる姿に、私も胸が熱くなりました。
グランプリを獲得した3年4組は、本格的な四部合唱の名曲に正面から挑み、インフルエンザによる学級閉鎖を乗り越えて、頂点をつかみました。「モルダウ」は150年前に作られた曲で、私も中学時代に音楽の授業で習った記憶があります。来年の合唱コンクールでは、1・2年生のみなさんは、「モルダウ」のような、歴史に耐えて現代に残っている本格的な名曲に挑戦してほしいと思います。
今回の合唱コンクールは、能登で生まれた「フェニックス」のように、困難を乗り越えたからこそ実感できる「合唱の力」が発揮された行事として記憶に残るに違いありません。
注釈
(1) 合唱作曲家 弓削田健介 Official site「フェニックス・プロジェクト特設ページ」
https://yugemusic.com/phoenix-special/
(2) 合唱曲「フェニックス」歌詞