FTコースを中心に、高校3年生で立命館以外の大学受験に挑戦する本校生徒のみなさんへ、エールを送ります。

 

今からおよそ100年前、アメリカ航空宇宙局(NASA)で一番古い、ラングレー研究所の正門に次の言葉が刻まれました。

“Dream can do! Reality can do!”
「思い描くことができれば、それは現実にできる」

この言葉が刻まれてから約40年後に、人類は初めて月面に降り立ちました。空を飛びたい。宇宙に行きたい。人類はそうやって、思い描いたことを現実のものにしてきました。「思えば叶う」のです。

みなさんは、目標の大学への合格を思い描き、そのために努力を重ねてきました。受験の前日は、眠りに就く前に、少し時間をとってみてください。目標の大学に合格した瞬間の自分、春のキャンパスを歩いている自分、学問研究に打ち込んでいる自分を、ありありと思い描いてみて下さい。思い描くことができれば、それは現実にできます。

立命館系列大学への推薦という確実な道があるにもかかわらず、あえて自分の夢を追いかける道を選んだみなさんの、その勇気と志の高さを私たち教職員は誇りに思います。

自信を持って、挑戦して下さい。

 

──さて、冒頭の“Dream can do! Reality can do!”という言葉を私がはじめて知った経緯をお話しします。

北海道赤平市に植松電機という社員25名の小さな会社があります。冒頭の言葉は、その代表取締役社長である植松努さんの講演会を通じて知りました。

植松電機は、大型磁石の製品開発・販売を行っていますが、空いた時間を使ってロケット開発を行っています。ロケットだけでなく、人工衛星も作るし、アメリカの企業と連携して宇宙船の開発も行っています。

小さい頃から飛行機に興味があった植松さんは、小学生の時、「よく飛ぶ紙飛行機集」という切り抜きの本を買ってもらいました。ハサミで切り抜いて接着剤で貼りあわせて作る飛行機の型紙がたくさん入っているこの本は小学生向けの本でしたが、「紙飛行機が作れれば本物の飛行機の設計ができる」と書いてあったそうです。

植松さんが中学生だった時、進路相談で「飛行機やロケットの仕事がしたい」と言ったら、担任から「芦別に生まれた段階で無理だ」と言われてしまいます。

「飛行機、ロケットをやるためには、東大を出なければならない。お前の成績では絶対に東大に行けない。この芦別の町から東大に行った人も一人もいない。だから無理だ。ばかなことを考えていないで、まじめに考えろ。」

全否定された植松さんでしたが、くじけることなく、どうやったら夢が実現するかを考え、独学で飛行機の勉強をすることを決意したそうです。

まず、図書館に行きました。図書館には大学の教科書や専門書があります。一所懸命に専門的なことを勉強するのですが、学校の成績は反比例して悪くなっていきました。だから担任から「お前には進学は無理だ」と言われたわけですが、飛行機やロケットのことを一生懸命に研究していたおかげで、学び方は身についていきました。

結局、日本最北端の国立工業大学である北見工業大学に入学。入学後、半年もすると専門の勉強が始まり、教科書を見てみると、流体力学、内燃機関、設計と、自分が小学校の頃からやっていたものばかりでした。機械加工実習では、植松さんは担当教員から「お前はもう授業は受けなくていいから、他のやつに教えてやれ」と言われました。好きな趣味としてやっていたことが、全然無駄ではなかったのです。

その後、大学でいろいろな経験を積み、卒業後は念願叶って飛行機を設計する仕事に就くことができ、その経験を経て、いま会社経営の傍らロケット開発をすすめています。

植松さんは宇宙開発について、それ自身は目的ではなく、「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすための手段としてやっていると語っています。

そこで、冒頭の言葉につながります。

“Dream can do! Reality can do!”
「思い描くことができれば、それは現実にできる」

無理かどうかを決めるのは他人ではありません。 あなた自身の思いの強さこそが夢を実現するのです。

みなさんの健闘を心から祈っています。

 

注釈
※本稿は、植松努『きみならできる!「夢」は僕らのロケットエンジン』(現代書林、2009年)の内容に基づいて構成しました。