近年、コンピュータゲームを使用した対戦競技である「eスポーツ」の流行を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は国際大会の開催を模索しています(1)。一方、日本国内では、日本野球機構(NPB)がプロ野球eスポーツリーグを主催しています。

「プロスピA プロリーグ」2025シーズン supported by TIR GAMING(通称:スピリーグ)は、モバイルゲーム「プロ野球スピリッツA」を使用した、日本野球機構(NPB)公認のプロ野球eスポーツリーグです。プロ野球12球団を代表する各球団3名、計36名のプロプレイヤーがセ・リーグとパ・リーグのeペナントレースを戦い抜き、日本一を目指します。(2)

昨年10月末頃、このリーグにおいて本校高校3年竹内悠基さんが千葉ロッテマリーンズ(監督は元プロ選手の里崎智也氏)に所属し、プロ選手として活動しているとの情報が判明しました。
私にはゲーム体験がほとんどなく、最初はその「すごさ」がわからなかったのですが、その後彼のチームがパリーグで2位となり、eクライマックスシリーズ進出を決めたあたりから、それがものすごい快挙であることがわかってきたため、試合前の12月18日、竹内さんにインタビューを敢行しました。

──プロ野球球団が運営するeスポーツとは?
「このプロリーグは5年前に始まりました。チームメイトには、登録者数20万人を超えるYouTuberをしながらプロ選手として活動している方もいます。高校生でプロ選手になるのは非常に珍しく、毎年3、4人程度しかいません」
「このゲームは、実際の野球に近いリアルさが特徴です。特に打撃操作は繊細で、タイミングなどが勝敗を大きく左右するため、プレイヤーのスキルが非常に重要になります。野球の経験がそのまま活かせるわけではありませんが、配球の組み立てなどでは経験が有利に働くこともあると感じています。試合時間は基本的に20分と定められており、時間内に決着がつかない場合は、ヒット数や長打などに応じたポイントで勝敗が決まります。実際に私もポイント差で惜しくも敗れた経験があり、その際は非常に悔しい思いをしました」

──このリーグに参加したきっかけは?
「私は高校時代、3年間キャッチャーを務めていました。昔から野球ゲームには親しんできましたが、ゲームを本格的に始めたのは中学生の頃で、iPadでプレイするようになってから約4年になります。小学生や中学生の頃は、リアルな野球にほとんどの時間を費やしていました。チームメンバーの約8割は野球経験者で、大学まで続けていた選手もいます。また、プロ選手36人のうち高校生は私を含めて二人だけで、ほとんどが大学生や社会人です」

──どのようにして選抜されたのですか?
「eスポーツのプロ選手になるまでの道のりは、非常に厳しいものでした。まず、プロ野球の12球団ごとにオンライン予選が開催されます。球団によって参加者数に差はありますが、全体では数十万人に上るとも言われています。その予選を勝ち抜いた上位者が、エントリーシートを提出し、書類選考に進みます。私が応募したロッテの場合、書類選考で13人まで絞られました。その後、実技試験を経て、ファイナリストとして5人が面接に進み、最終的に2名が選ばれました。私は実技試験で1位だったため、無事にプロ選手になることができました。倍率は非常に高く、何十万分の36人という確率で選ばれた選手たちは、里崎智也さんをはじめとする他の監督にも会える機会がありました」
「オンライン予選が行われたのは9月で、プロ選手を決める選考会はその約1ヶ月後でした。もともと野球ゲームはプレイしていましたが、高校野球連盟に所属している間はeスポーツのプロになる資格がなかったため、本格的な活動は引退後です。それまでは、あくまでもリアルな野球が中心の生活でした。プロ選手になった今、試合ごとに報酬をいただいています。現在の勝率は4割で、チームは総合2位につけています」

──これからの抱負は?
「自分の能力を自覚していたわけではありませんが、eスポーツは動体視力などが重要になるため、若さが有利に働く面はあると感じています。この経験を将来どのように活かすかはまだ模索中ですが、あくまで趣味の延長線上にあると考えています。しかし、社会人や大学生など、様々な年代の方々と関わる中で社会を知る良い機会となっており、非常に貴重な経験だと感じています」
「リーグは3人1組のチーム戦で、先に2勝したチームが勝利となります。次の試合では私が先鋒として出場します。以前、チームの勝敗がかかったプレッシャーのかかる場面でサヨナラホームランを打ったことがあり、その経験が自信につながっています。次の試合に勝てば、日本シリーズ出場をかけた最終戦に進むことができます。1位のチームには1勝分のアドバンテージがあるため厳しい戦いになりますが、全力を尽くしたいと思います」

なお、その後チームは、竹内さんの活躍により、パリーグ3位の日本ハムに勝利。その勢いのまま1位のソフトバンクにも1勝のアドバンテージをはねのけ勝利し、e日本シリーズ進出を決める快進撃を重ねました。
私も重要な試合はリアルタイムで応援させてもらいました。e日本シリーズでは巨人に完敗したものの、プレーオフシーズンでは彼の活躍がチームを救ってくれました。e日本シリーズ進出を決めた瞬間は、私も胸が熱くなりました。

この冬、eスポーツ界で日本一をめざした経験が、竹内さんの卒業後の人生に大きな価値を生み出してくれることを期待しています。

注釈

(1) 「日本経済新聞」(2025年10月30日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC30BRQ0Q5A031C2000000/
(2) 「プロスピA プロリーグ」公式サイト
https://e-baseball.konami.net/prospi_a_league/