3月11日、本校中学1年生による発展型琵琶湖学習発表会「Shigaクリエイト 校長ピッチ」を実施しました。これは、生徒が模擬的に会社を立ち上げ、アイデアを「ピッチ」(短いプレゼン)し、来場者が模擬通貨を投資するという、これまでにない形式の企画です。来場された「投資家」の皆様には、「3億竹田円札(1)」1枚と「1億竹田円札」2枚をお渡しし、生徒にも「1億竹田円札」1枚を配布しました。大人も同世代の仲間も、それぞれの立場で「応援したい」企画に「投資」を行う。教室での学びが、社会につながる体験となりました。

当日は、各教室およびラーニング・コモンズ(教室前廊下のスペース)にグループを配置し、時間になると各所で一斉にピッチが始まります。来場者は発表詳細を手に、聞いてみたいグループの場所へ移動し、質疑応答を交わしながら投資先を決めます。各チームは「社長」「企画宣伝部」「技術部」「調査営業部」「経理部」と役割を分担し、単なる思いつきではなく、実現に向けた道筋を多面的に語ろうとしていました。最高金額を獲得したチームが最優秀チームとなります(結果は後日発表!)。

この企画のよさは、発表を「聞いて終わり」にしない点にあります。投資という仕組みがあることで、聞き手は自然と「どこが魅力か」「課題は何か」「どうすれば実現に近づくか」を考え、質問します。生徒はその問いを受け止めながら、自分たちの言葉で考え直し、説明し直す。教室で培った知識が、対話の中で磨かれていく。そこには、ホンモノの学びがありました。

印象的だったのは、アイデアの独創性(ワクワクする新しいアイデア)です。琵琶湖一周を走ることでマイルが貯まるアプリ、夜の湖を光で演出する水溶紙製ランタン、医療バスで山間部の人々や高齢者を支える構想、生活グッズと伝統工芸を融合する提案など、「面白くて、あっ!と驚く」発想が次々に飛び出しました。琵琶湖や滋賀の魅力を、これまでにない切り口でアピールしようという工夫が随所に見られました。

同時に、それらは社会課題解決の志向性(みんなのため、滋賀のためになるアイデア)に貫かれていました。環境問題や地域の活性化、医療や交通といった、滋賀や琵琶湖が抱える困りごとに正面から向き合い、「このプロジェクトが実現したら、地域の人たちや環境に良い結果を生み出す」と思わせる提案が多かったことは、中学1年生のまなざしの確かさを示しています。

さらに、応援したくなる熱意と説得力がありました。発表は概してわかりやすく、アイデアを本気で実現したいという思いが、言葉や態度の端々から伝わってきました。社長役だけが頑張るのではなく、企画宣伝・技術・調査営業・経理といった各部署の視点が考えられているものが多かった点も頼もしく感じました。

ゲスト来場者として、滋賀県立琵琶湖博物館主任主事、JICA関西スタッフ、海外からの留学生、通訳、カナダのアルバータ州立大学大学院生や国際基督教大学学生(本校卒業生)など、総勢20名以上の皆様にご協力いただきました。「投資家」の皆様からは、「やや突拍子もないとは言え、大人には思いつかない面白いアイデアを中学1年生が堂々と発表する姿を見てびっくりしました」との言葉をいただきましたが、まさにこの日の空気を言い当てるコメントでした。外部の多様な視点に触れることで、生徒の中にも「社会に向けて語る」実感が生まれたのではないでしょうか。

未来のGame Changerが育つ学校をめざす本校にとって、この企画は中1びわ湖学習史上、初の試みであり、大きな一歩でした。教室で学んだ知識を、社会に向けた提案へと翻訳し、対話と問いを重ね、共感と応援を集めていく。そのプロセスを経験した生徒たちは、これからきっと「学ぶ意味」を自分の中に持ち続けるはずです。

私たち大人の役割は、完成品を求めて評価することだけではありません。未完成なアイデアの中にある光を見つけ、問いを通して磨き、挑戦を励まし、次の一歩につなぐことです。
生徒たちの目の輝きに、滋賀の未来が垣間見えた半日でした。

注釈
(1) 「竹田円」とは学年主任の名前を用いた仮想通貨のこと。