高校サイエンス 2022年度 建築技術探究

2023.2.7

 2023年2月5日から6日、SSH校外研修「建築技術探究」を実施しました。本研修では、1日目に建築の「伝統」を、2日目に木造建築の「最先端」を学びました。

 1日目は神戸市にある日本で唯一の大工道具の博物館である「竹中大工道具館」と、別名白鷺城とも呼ばれる「姫路城」を見学しました。最初に訪れた竹中大工道具館では、鉋や鋸など、伝統ある様々な大工道具を見て、触れて、体験しました。
 例えば「鉋」と一括りに言っても多くの種類があり、その細かさと当時の「大工道具を作る技術」にも驚かされました。また、釘を使わない「木組」の模型を実際に触れ、まるでパズルのように精巧なその作りに、生徒の皆さんも「すごい」と驚いてばかりでした。さらに、大工道具を実際に使う体験をすることもできました。日本と西洋の鋸(のこぎり)の違いや、木によって使い分ける鉋(かんな)を、実際に使ってみることができました。 姫路城では、まずその大きさに驚かされました。また、「この大きな木や石はどうやって運んだんだろう?」「あの木組はさっきの大工道具館で見たものと近いな」など、訪れてみることで、様々な気づきがあったようです。

 2日目は、岡山県真庭市にある、合板の木材であるCLT製造とバイオマスエネルギー事業を展開する銘建工業株式会社を訪問しました。CLTを用いた本社見学と、CLTを素材にした簡単な木工体験をしました。 本社の中は木の温かみを肌で感じることができ、「こんなところで仕事したいなぁ」と呟く生徒もいました。見学とレクチャーを終えた生徒からは、「木材だと火災やシロアリ対策はどうしているのか?」「CLTを製造する過程で木材を乾燥させるのはなぜ?」など、多くの質問があがりました。

 2日間の研修を通して、元々建築に興味があった生徒はさらに興味を深め、そうではない生徒も知見を拡げることができました。

以下、主な生徒の感想です。

・「この2日間で、構造建築分野に興味を持った。銘建工業では、提案された図面をどのように設計していくかをさまざまな視点から決定していることを知った。これを行う上では建築の知識だけではなく、法などの知識も必要だと感じた。今後自分が大学で学んでいく中で、専門知識にとらわれず、様々な分野にも興味を持ちたい。」

・「建築物を見る視点が大きく変わったと思う。なぜ姫路城が世界遺産なのか。竹中大工道具館に行った後に姫路城に行ってみると、姫路城はとてもすごかった。安土桃山時代であの規模の建築をまず行おうと思うことと、設計することでさえとても壮大なことで大変だと思う。知識を蓄えてから体験する楽しさを学べた。」

・「初めは建築に対して興味があったわけではなく、兵庫や岡山に行けるから行ってみようという感じだったのですが、来てみて色々な場所で木材を作る人、加工する人などそれぞれの工程の目線での取り組みや工夫が知れて、建築分野への興味が沸きました。大学の学部もまだまだ決まっていないので、その方面も考えてみたいなと思いました。」