願いを言葉にこめて
─「4つのリスペクト」誕生─
立命館学園の建学の精神「自由と清新」、教学理念「平和と民主主義」をふまえ、立命館守山中学校・高等学校は、「Game Changerの育成」を独自の教育目的に、「4つのスキル(4つのC=4Cs)」(Critical Thinking:批判的思考スキル、Creative Thinking:創造的思考スキル、Communication:コミュニケーションスキル、Collaboration:コラボレーションスキル)習得を教育目標に掲げてきました。
そして、昨年、教員間で「Game Changerに必要な精神、マインドはどういうものだろうか」という話し合いを行い、今年度から「4つのマインド」として「4つのR=4Rs」を新たにつくりました。「4つのR」の「R」とは「Respect(リスペクト)=尊重すること、大切にすること」の頭文字です。
〈4つのマインド(4Rs)〉 (1)Respect for Oneself(自分自身へのリスペクト) ・自分の頭で考え、自分の意見を持つよう努める。 ・自分の価値観・感情を含めた自分らしさを大切にする。 ・自分の身体を大切にし、健康管理、体力増進をはかる。 (2)Respect for Others(他者へのリスペクト) ・自分と異なる価値観や感情をもつ他者の存在を尊重する。 ・意見や感情の対立は、直接対話による解決に努める。 ・SNS等を含め他者が苦痛を感じる言動は厳に慎む。 (3)Respect for Society(社会へのリスペクト) ・公共の場である学校・通学空間にふさわしい身なりや態度、言動を心がける。 ・社会の中の一員であることを自覚し、見知らぬ人に対しても謙虚な姿勢を心がける。 ・社会のルールである法令を遵守し、正義と倫理に基づく言動を心がける。 (4)Respect for Learning(学びへのリスペクト) ・学びを通じた成長が生徒の本分であることを自覚し、主体的な学び、自己の研鑽に努める。 ・授業を大切にするとともに、より良い授業にするため教員との対話を心がける。 ・学びに関わる不正(試験時の不正行為、論文の剽窃、生成AIの不適切利用等)は厳に慎む。 |
一つめは、自分自身へのリスペクトです。
人間は、「自分のために」生きています。「自分のため」とは、決して「利己的」つまり「自分の利益だけを追求する」という意味ではありません。自分にとって必要なことは何か、自分はどのように生きたいのか、を自分の頭で考えること、自分の生き方についての価値基準を「自分の中に」もっているということです。「自分のために」生きられる人こそが本当の意味で「自由な人」であると言えます。そして、生徒一人ひとりが、他の誰とも交換することができない、世界で唯一の、Only Oneの、大切な存在なのです。だから、まずは自分自身の価値観、感情、身体を大切にすることが重要です。
二つめは、他者へのリスペクトです。
生徒一人ひとりが、他の誰とも交換できない、Only Oneの大切な存在であるとすれば、隣にいる友人もOnly Oneの存在です。そして、100名いれば、100種類の考え方・価値観があり、誰一人として同じ人はいません。違って当たり前なのです。だからこそ、他者の考え方を尊重する必要があります。そして、意見の対立が起きたら、暴力や強制、同調圧力ではなく、対話で解決するしかありません。現代社会の法律では、たとえ些細なことでもなんらかの行為によって相手が苦痛を感じたらそれは「いじめ」行為と認定されます。したがって、相手が誰であれリスペクトの心を持ち、自身の言動に責任を持つ自覚が必要です。
三つめは、社会へのリスペクトです。
誰もが社会の中で、私的な空間と公共的な空間の2つの世界を生きています。学校があるときは、家を出てから学校までが公共的空間です。帰宅後および休日は私的な空間です。公共空間では、それにふさわしい身なりや態度、言動が求められます。社会の一員である以上、知らない人に対しても謙虚な姿勢が必要です。法律などの社会的ルールを守ることは言うまでもありません。常に謙虚な姿勢を持ち、自分がどうあるべきか、自分で判断する力が求められます。
四つめは、学びへのリスペクトです。
学びを通じて人間的に成長することが、中学生・高校生の仕事です。学校では授業が最も大切です。授業は、教員と生徒の共同作業によって作るものです。よりよい授業にするために教員との対話を心がけ、授業の内容やすすめ方に疑問があれば意見や要望を出すべきです。学びに対して常に誠実な姿勢を貫き、あらゆる不正を排除しなければなりません。
以上、「4つのマインド」「4つのR」を常に意識して、学校生活を充実させるならば、必ずや未来のGame Changerにふさわしい力を身につけ、社会に通用する人間に成長することができます。
なお、この「4つのR」は、私たち教職員も自らの課題として捉え、謙虚な姿勢で日々地道努力を重ね、ともに成長していきたいと考えています。
学校としての願いを言葉に表した「4つのR」を、立命館守山中学校・高等学校にかかわる生徒、保護者、教職員、すべての関係者の合い言葉として大切に育てましょう!
※4/9始業式での校長講話に加筆しました。