10月8日、本校は創立20周年記念式典を挙行しました。漫画家・三田紀房さんの記念講演をはじめ、心に残る場面の多い一日でした。その様子を、これから何回かに分けてご紹介します。第1弾は、式典の後半を締めくくった生徒企画です。

「あなたの夢は、何ですか?」
暗転した会場に、一人の高校生の声が響きました。約1800名が見守った構成劇の、最後の台詞です。
幕開けは、高校吹奏楽部の演奏と中学バトン部の演技でした。続く構成劇の主人公は、進路に迷う一人の高校生です。担任の先生に夢を尋ねられても、答えることができません。「夢なんて、なくても楽しく生きていけるし……」。そうつぶやく彼女の前に謎の郵便屋が現れ、『未来を生きるあなたへ』と書かれた手紙を手渡して去っていきます。後を追った高校生は、時空を超える旅に出ます。

古代ギリシャではソクラテスから「多くの人と対話を重ね、汝自身を知れ」と諭され、古代中国では孟子から、本校の名の由来である「立命」の言葉を授かります。1789年のパリでは、自由を求めて立ち上がる民衆に出会いました。中高ダンスチームの躍動と、高校吹奏楽部「民衆の歌」が、革命の熱気を会場いっぱいに伝えます。

クリミアの野戦病院では、ナイチンゲールが「小さな気づきと努力の積み重ねが、大きな変化をもたらすのよ」と語ります。1945年の日本では、出征する学生が母に別れを告げます。「お国のためではなく、母さんや大切な人たちのために行ってくる」。画家になって、最初に母の絵を描きたい。そう打ち明けて、学生は旅立っていきます。

旅の最後に訪ねたのは、立命館の礎を築いた西園寺公望、中川小十郎、末川博の三人です。三人の声は教職員が担当、実は私も西園寺公望役を務めさせていただきました。「未来の立命館に必要なのは、私たちの言葉をそのまま守ることではなく、超えていくこと」。この場面には、高校バトン部の「風笛」が続きました。

学校に戻った高校生が手紙を開くと、旅で出会った人々の夢が書き記されていました。歴史に名を残した人たちも、ただ身近な人の幸せを願っていた。夢は特別なものではなく、ずっと近くにあったのだ。そう気づいた彼女の物語は、キング牧師やアポロ計画の映像、そして卒業生や在校生、教員が夢を語る映像へとつながり、高校書道部が「栄光の架橋」に合わせて大きな書を書き上げました。最後に、冒頭の問いが客席に投げかけられ、幕となったのです。

この日、来場者の皆さんの座席には一通の封筒が置かれていました。中身は、劇中で郵便屋が届けたものと同じ手紙です。ナイチンゲールや学徒、西園寺公望らの夢が並んだその下には、「あなた」とだけ記された空欄が残されています。観客参加型の見事な演出です。封筒を持ち帰られた皆さんは、もうその欄に何か書き込まれたでしょうか。

さて、文化系クラブの生徒たちが、「夢」という一つのテーマのもと、オリジナルの物語の展開に合わせてそれぞれのパフォーマンスを披露する。これは本校にとって前代未聞の企画でした。出演した中高生は約140人。しかし全員が一堂に会したのは、当日午前中のリハーサルだけでした。それまでは、各クラブがばらばらに練習を重ねてきたのです。その上、1,800人を収容する会場は横が100mもある一方、ステージの幅は通常サイズで奥行のスペースも狭く、4つの大型モニターで映し出すという特殊な環境。そうした悪条件にもかかわらず、本番では発表全体が見事に一体化しました。

各クラブの演技を一つひとつ取り出してみても、その完成度の高さには目を見張るものがあります。どの場面からも、生徒たちの真剣さと一生懸命さがひしひしと伝わってきます。客席で見守りながら、私は深く心を動かされていました。

終了後、来賓の皆様や学園関係者の方々からは、「すばらしい構成劇だった」「生徒の姿を見て、20年間の学校の発展を実感した」と、口々に高い評価をいただきました。全校生徒も同じ感想だったに違いありません。私も本当に嬉しかったです。

実は、劇の終盤に流れた夢を語る映像には、私も登場しています。そこで私が語った夢は、「日本中を、生徒が明日も行きたくなる学校にしたい」というものでした。大それた夢かもしれませんが、私は本校の教育づくりで応えていく決意を新たにした次第です。