立命館学園の建学の精神である「自由と清新」、教学理念である「平和と民主主義」をふまえ、立命館守山中学校・高等学校は、「Game Changerになる」ことを学校の教育目的に掲げています。
「Game Changer」の一般的な意味は、以下のように説明されています。

ゲームチェンジャー、試合の流れを変える[形勢を一変させる・考え方を根本から変える・大逆転させる]出来事[物事]、大変革をもたらす人[企業・もの](1)

もともとはスポーツの世界で「試合の流れを一気に変えてしまう選手」を意味していたようです。それを本校では、「多様な価値観を持つ他者と協働しながら新たな価値・ルールを社会に提案・実装し、社会に希望を生みだす人」という意味で再定義しています。
そこで、記念すべき「校長室ブログ」の第1回目は、「Game Changerとはどのような人か」をテーマにお話ししたいと思います。

現在、世界的に活躍する著名な日本人の中でGame Changerにふさわしい人と誰かと聞かれれば、私はメジャーリーグの大谷翔平選手を挙げたいと思います。
なぜなら、「ハイレベルなメジャーリーグの世界で二刀流は無理」という常識をくつがえし、それを見事にやり遂げたからです。しかも、彼の活躍は、先発投手と指名打者が兼任できないという当時の野球ルールまで変えてしまいました(いわゆる「大谷ルール」)。常識に対して新たな価値を示し、ルールを変え、そして人々に夢と希望をもたらす大谷選手は、まさしくGame Changerに他ならないと言えるでしょう。

しかし、私が彼に注目したいのは、彼の並外れた身体能力ではありません。それはある動画を見たのがきっかけでした。
メジャーリーグで活躍するダルビッシュ投手は、昨年のインタビューで次のように語っています。

大谷くんはすごいですよ。僕がすごいと思うところは、彼の「裏の部分」ですね。……日々の過ごし方や、どういう物を食べているのか、そこがすごいんですよ。……大谷くんのそこを見なきゃダメなんですよ。でないと、大谷くんには近づけない。……ジャンプの仕方やトレーニングの組み方、栄養のとり方を見てもすごい。……そりゃ、ああなるよねと思います。だから僕は驚かないです。……才能が素晴らしいのは、もちろんなんですけど、それプラスそこがあるので。(2)

そういえば、大谷選手は、フィールド内のゴミを拾ったり、誰に対しても礼儀正しく挨拶したりと、その行動面でも話題となっていました。つまり、大谷選手のすごさは、「すべきことを当たり前のようにできる」ことにあるのです。

この記事を読んで、誰にも見えないところで地道な努力を重ねる謙虚さがGame Changerになるために必要な条件なのだと教えられました。

(1) サイト「英辞郎 on the WEB」
https://eow.alc.co.jp/search?q=game+changer
(2) YouTube「高木豊チャンネル」
https://www.youtube.com/watch?v=9JypHHe5x4A

※この記事は、4月10日の入学式式辞に加筆したものです。