規格外食材として捨てられていた湖魚を佃煮味のふりかけとして再生する──、高校3年生有志が模擬起業を行い、持続可能な社会づくりの活動に取り組んでいます。

会社名は「琵琶粉(biwakona)」、社員は、山田健太郎(代表取締役社長)、山田侑花、玉井芳果、水野皓太、砂川昊輝の5名です。

きっかけは、「琵琶湖産の小アユやワカサギの佃煮の素材で、頭が取れたりお腹が裂けたりした場合に捨てられてしまう魚を再利用できないか」との問題意識から始まりました。

そこで、メンバーは第5回リアビズ高校生模擬起業グランプリ(主催:認定NPO法人金融知力普及協会)にアイデアを応募してみることにしました。その結果、全国91件の応募者の中からファイナリスト6チームに選出され、支給された資金30万円を元手に事業活動を始めることになりました。

まず、県内の佃煮店をリストアップし、事業協力依頼交渉を行いますが、高校生からの突然の依頼ですので、なかなか引き受けていただけるお店が見つかりません。しかし、「社員」たちの熱意が届いたのか、長浜市の老舗佃煮店「佃煮の伊吹」から商品開発の協力を取り付けることができました。

今回の起業プログラムは、アイデアだけでは終わりません。商品企画、仕入れ、製造、広報、販売、経理から顧客対応まで、すべて生徒自身の手で実践する必要があります。

「佃煮の伊吹」とは商品開発についてオンラインで何度も打合せを行い、実際の製造現場を知るために長浜市にある店舗兼工場まで何度も通います。「佃煮の伊吹」も、ふりかけの製品化は初めての試みであり、試行錯誤の連続です。あすなろ祭(文化祭)でも試食会を実施。「これはいける」と納得の行くまで試食を繰り返しました。

こうしてついに完成したのが、「琵琶湖のおいしい粉 佃煮ふりかけ」です。山田社長は「秋が旬の湖魚の佃煮を乾燥させ、砕き、粉末状にしました。また、伊吹さんの名物である実山椒など滋賀県の山の幸をふんだんに入れることで、子どもから大人までご飯がすすむ味を実現しました」と語っています。

現在、「社員」一同は、ネットショップだけでなく、対面での販売を協力してもらえるお店に協力依頼する活動を展開しています。今後、商品販売が10/8〜11/7、決算締切が11/28、成果発表会が12/22の予定で取り組まれる予定です。

このプログラムの意義について、下記の通り説明があります。

現在の経済環境において、若者たちが恐れずスタートアップに挑戦し、経済界の新陳代謝を行うことは非常に重要です。反面、若者のほとんどは起業というものがどういうものかわからず、チャレンジする為のハードルが非常に高いため、当初からその選択肢を外している現状があります。 そこで、高校生のうちに限りなくリアルなビジネスを経験し、楽しさや厳しさ、お金についての感覚を掴むことによって、自分の力でなりわいを生み出すことに対する「心のエンジンを駆動させる」為に生まれたプログラムが「リアビズ」です。(1)

まさに、「Game Changerが育つ学校」をめざす本校にぴったりのプログラムです。失敗を恐れずに挑戦する「社員」のみなさんに心からのエールを送ります!

〈10/9追記〉
本日試食したところ、とても美味しかったです。おすすめの味です。社会的意義のある商品であっても、ふりかけの命は「美味しさ」です。
ご興味のある方は、琵琶粉公式サイトをご覧下さい。(2)

注釈

(1) リアビズ高校生模擬起業グランプリサイト
https://reabiz.jp/?page_id=13

(2) 琵琶粉公式サイト(ネットショップ)
https://biwakona.wixsite.com/furikake/about-3