恥ずかしながら「世界湖沼の日」の存在を初めて知りました。まずは経緯の説明から……。

昨年10月、第79回国連総会において8月27日を「世界湖沼の日」とすることが決定しました。これは、滋賀県大津市で第1回世界湖沼会議が開会された1984年(昭和59年)8月27日にちなんだもので、これまで「世界湖沼の日」制定を国連に働きかけてきた滋賀県の努力が実った次第です。

滋賀県サイトによると、「世界湖沼の日」は「人間の健康、福祉、経済発展、および気候変動の影響への対応に関して、湖沼の果たす重要な役割を具体的かつ継続的に認識させるため、国連が定める世界共通の記念日(国際デー)」(1)と位置づけられています。

また、本県には、上記世界湖沼会議開催をきっかけに公益財団法人国際湖沼環境委員会(ILEC:アイレック)が草津市(琵琶湖博物館の隣)に設立され、調査研究や国際交流を展開しています。(2)

「世界湖沼の日」に関連して、本校は次の取り組みをすすめています。

一つ目は、ILECによる「世界湖沼の日」次世代育成事業として、今年の夏、オーストラリアのブリスベンで開催される第20回世界湖沼会議(7月21日~25日)への高校生派遣(5名)の募集で、本校高校2年生の中川瑛太さんが採用されたことです。中川さんは、地元彦根市のまちづくり委員、ヨシ刈りや犬上川清掃のボランティアの経験を持ち、書類選考と英語面接を経てユース会議に参加する代表となりました(3)。今後の活躍が期待されます。

二つ目は、滋賀経済同友会「MLGsと私たち」部会からの要請により、7月29日、本校でMLGsイベントを開催することです。「MLGs」とは「Mother Lake Goals」のことで、「琵琶湖版のSDGsとして、2030年の環境と経済・社会活動をつなぐ健全な循環の構築に向け、琵琶湖を切り口として独自に13のゴールを設定」(4)している、自治体と民間による共同の取り組みです。

本校で開催するイベントは生徒主体ですすめようと、実行委員を高校GLコース内で募集したところ、多数の応募を経て、4名の高校1年生が実行委員として経済同友会のみなさんと連携した取り組みをすすめることになりました。

本校では、中学1年生が学年の年間活動として琵琶湖学習に取り組んでおり、そうした学習の延長として、近年は琵琶湖をフィールドに探究活動をすすめる高校生が増えています。例えば、今春の高校卒業生の中には、捨てられる湖魚を佃煮味のふりかけとして再生する模擬起業(5)や、琵琶湖で獲れるギンブナを素材にイタリア家庭料理「マンテカート」に仕上げる缶詰の製品化(6)にとりくんだグループ、個人がいました。

上記二つの事例は偶然タイミングが一致したものですが、世界を視野に入れながら地元滋賀県で活動する、いわゆる「Think Globally, Act Locally」の実践として大変意義あるものになりそうです。

「学びを通じた社会実装化」をめざす本校は、生徒たちが探究を通じて社会に影響を与え、学び成長することを願っています。

 

注釈

(1) 滋賀県サイト https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/event/341220.html

(2) 公益財団法人国際湖沼環境委員会サイト https://www.ilec.or.jp

(3) 本校サイト「高校『第20回世界湖沼会議(WLC 20)』の関連行事『ユース会議』の参加メンバーに選出されました」https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2025/05/12/post-183731/

(4) マザーレイクゴールズ(MLGs)推進委員会サイト https://mlgs.shiga.jp

(5) 本交サイト「高3 滋賀の恵みを活かした佃煮ふりかけ『琵琶湖の美味しい粉』が完成しました」https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2024/10/11/post-138066/

(6) 本校サイト「高3 ローカルフィッシュ缶グランプリ 全国大会に出場しました」https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2024/10/15/post-138461/