2年前、本校が初めてジュニアインターンシップを実施した際、受け入れ先の法律事務所様がホームページに次のように記してくださいました。

ある日突然立命館守山中学校の生徒を名乗る方から電話があり、職場体験をしたいが受け入れてくれるか、という旨を生徒さんが自分の言葉で話し、その後、担任の先生に電話を替わって説明がある、というようなものでした。〔中略〕電話が苦手な若手サラリーマンも増えていると言われる中、中学生にいきなり自分で電話させてアポを取らせるあたり、立命館守山中学校はさすがと言いますか、実践的なカリキュラムを組んでいるなと感心せざるを得ませんでした・・・(1)

「行きたい職場を自分で探し、自分で連絡し、自分で交渉する」——本校ジュニアインターンシップの原則は、今回も変わりません。昨年は「万博謎解きプロジェクト」により実施を見送ったため、今年は2年ぶり2回目の実施となりました。

6月10日から12日の3日間、中学3年生はそれぞれが選んだ職場に飛び込み、報告書を手に帰ってきました。それを読むと、どの記録にも共通する気づきがありました。それは、「仕事というものは、外から見えている部分だけではない」という発見です。

コンサートホールでの仕事を体験した生徒は、こう書いています。

「いつもは舞台とか舞台裏しか考えてなかったけど、いろんな人がいろんなところでがんばっていることを知った。見えないところほど大事だなと思った。」

プロモーション、施設管理、舞台技術、事業推進——公演がない日にも仕事は動き続けている。客席から見えるのはステージだけですが、その向こうには無数の「見えない仕事」があったのです。

銀行業務を体験した生徒も同じような発見をしました。

「銀行の雰囲気はかたいというイメージだったけど、とてもあたたかい雰囲気で、これもコミュニケーションにつながっていくんだと思った。〔中略〕銀行と地域のつながりなどがとっても強くて驚いたし、人とのつながりが大切で、やりがいが多そうだと思った。」

「銀行=かたい場所」というイメージが、たった3日間で「人とつながる仕事」へと塗り替えられました。現場に立って初めて固定観念が更新されました。

現場のリアルは、頭だけでなく全身で受け取るものでもあります。小学校で「教育実習」を体験した生徒は、1日目も2日目も子どもたちと全力で鬼ごっこをし、こう振り返りました。

「小学校の教師は体力も必要だし、一人一人をしっかり見て対応する観察力が必要だということです。泣いている子がいたら話を聞いてあげて対応しないといけないし、なおその間にもケンカが始まりそうな時があったし、本当に先生たちは余裕がありそうで、こんなに仕事をこなしているなんてすごいなと思いました。〔中略〕帰ってきてから2時間寝てしまいました。」

「2時間寝てしまいました」——思わず笑いを誘うこの一文が、体験の密度を物語っています。小児科クリニックに行った生徒は、往診の車の中で副院長先生から「小児科は未来のある仕事」という言葉をもらい、こう記しました。

「一人の子の成長を見られるのが小児科ならではの魅力であると教えていただきました。たしかに小児科は0〜15才の子どもたちが来るから知識が必要だけど、「成長」というやりがいを感じられる職業だと知りました。残り一日ですが、感謝の気持ち、笑顔、学ぶ気持ちを忘れずに明日もがんばりたいです。」

「成長に関わること」——教育も医療も、その本質は同じかもしれません。そして最後に紹介したいのは、ミュージアムでショップ業務を体験した生徒の言葉です。

「はじめの人が外国の人で余計に緊張したけど、笑顔だったから安心できた。3日間とても楽しかった。」

いきなり英語(?)での対応を迫られながらも笑顔に救われ、なんとか乗り切った姿が想像されます。そして、3日間を「楽しかった」と締めくくる。完璧にこなせなくてもいい。ミカンセイだからこそ、緊張し、驚き、感動できる。それが中学3年生の今、体験することの意味ではないでしょうか。

今年の3年生たちは、それぞれの現場で「見えていなかった仕事」を見つけてきました。その発見は、これからの進路を考えるための羅針盤になります。そして何より、自分で電話をかけ、自分でアポを取り、自分で交渉をしたからこそ、その体験は一生の財産になるに違いありません。

今回、本校中学3年生がお世話になった全ての企業・公的機関・団体の皆様に、この場をお借りして心から御礼申し上げます。

注釈 (1) ミカン法律事務所サイト2024年7月22日記事
https://mikanlaw.jp/2024/07/22/3310/