「近江の国。日本一の湖『びわこ』。水はすべての源。美しき天女、勇敢な武士、悲しき乙女、そして勝利の神。全てを母なる湖『びわこ』が育みました。あの松尾芭蕉も生涯でおよそ100句も詠むほど近江の風景と人々を愛していたそうです。公開演技『淡海(おうみ)時空紀行~芭蕉が愛した水の伝説~』どうぞごらんください……」

冒頭に流れるアナウンスを聞きながら、私はMacの画面を食い入るように見つめていました。

 

8月3日、大津市の滋賀ダイハツアリーナにて、「令和8年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)夢へ躍進 青春の夏 近畿総体2026」の総合開会式が、秋篠宮ご夫妻ご臨席のもと、47年ぶりに滋賀県で開催されました。全国から集まった高校生アスリートの皆さんを迎えるこの晴れの舞台で、本校高校演劇部の生徒たちが、大きな役割を担いました。私は当日、会場には赴けませんでしたが、自室からYouTube中継でその様子を見守りました。

式典の中で披露された公開演技「淡海時空紀行 ~芭蕉が愛した水の伝説~」は、県内5校、約240名の高校生が力を合わせて創り上げたステージです。彦根東高校の箏曲、MIHO美学院中等教育学校の和太鼓、膳所高校の吹奏楽、甲西高校のマーチングが、それぞれのテーマに沿った発表(演奏・演舞)を行い、本校演劇部が各発表の幕間(まくあい)を演劇でつなぎ、全体が壮大な物語となる構成でした。

物語は、インターハイ出場選手へのお守りに想いを込めようとする一人の女子高校生(主人公)が、松尾芭蕉に導かれて時空を超え、近江の地に伝わるさまざまな伝説をめぐる、というもの。余呉湖の羽衣伝説、俵藤太のむかで退治伝説、比良八荒と浮御堂に伝わる恋の物語、そして太郎坊天狗と雷獣退治の伝説──滋賀県内各地に息づく物語を旅するたびに、主人公の抱くお守りには、少しずつ力が込められていきます。そして時代を戻ったその手には、旅を通じて得た「勇気と勝利」の想いが宿り、その言葉が、そのまま全国から集った選手の皆さんへのエールとなって式典を締めくくりました。

本校演劇部は、主人公役の女子高校生をはじめ、松尾芭蕉、天女、俵藤太、オイサ、オイサの母、僧、太郎坊天狗、修験者、村人3名という役どころを演じ切り、裏方のスタッフ5名を含めて、総勢17名の部員が本番の舞台を創り上げました。台詞のひとつひとつに込められた近江の歴史と自然への想いを、練習を重ねて自分たちの言葉として届けてくれた生徒たちの姿は、大変誇らしいものでした。

約1年前に依頼を受けて以来、準備に取り組み、台本の読み込みから立ち位置の細かな確認まで、膨大な時間の積み重ねがありました。他校の演奏や踊りとタイミングを合わせる難しさもある中、堂々と、そして生き生きと演じ切った部員たちに、心からの拍手を送ります。

また、舞台上の演技だけでなく、式典の進行を支える場面でも、本校生徒の活躍がありました。今回の総合開会式では、高2桂田真幸さんが総合司会の一員として式典の円滑な進行を支えてくれました。桂田さんは開式の辞を述べる等、リーダー的な役割を果たしていました。

全国の高校生アスリートを迎える大切な舞台で、本校の生徒たちが滋賀の物語を届けられたことは、学校にとっても大きな喜びです。演劇部と桂田さんの今後の活躍にご期待ください。