デジタルクリエイティブ教育
リツモリ、10年のICT教育と次なるステージへ
2014年、タブレット端末の導入から始まったリツモリのICT教育。
以来10年、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら指導方法を模索し、教育環境を整備してきました。
その間、校外の状況も大きく変化しました。
テクノロジーは目覚ましい発展を遂げ、DXも推進されつつある現在、
ICT技術はもはや必須スキルの一つであると言えます。
そのような中、リツモリのICT教育は次のステージへと進みます。
より高度な創造性を育むデジタルクリエイティブ教育。
その目指す先は―――
Part.2
「個別最適な学び」と
「1人2台環境」で
ICT教育を次の段階へ
2014年からICT教育に取り組んできたリツモリ。
10年が過ぎてICT活用が当たり前になったからこそ、
さらに質の高いICT教育をめざします。
ここではリツモリが取り組んでいる
新しいICT教育の「個別最適化学習」と「1人2台環境」について紹介します。
個別最適化学習で
生徒の主体性を引き出す
リツモリではタブレット導入当時からアダプティブ・ラーニングを取り入れていましたが、コロナ禍以降、AI教材を活用した個別最適化学習をスタートしました。AI技術が進んだことで、より生徒一人ひとりの習熟度に合わせた学習が可能になり、効率的に苦手克服や学び直しができるようになりました。
AI教材というと、あたかもAIが教師の役割を取って替わり、生徒がAIと無機質な学習を行うように感じるかもしれませんが、そうではありません。AIは生徒一人ひとりに合った学習環境を提供するためのツールでしかなく、生徒の学習をサポートするのは教師です。教師が生徒の学習内容を把握しながら、伴走者として見守り、生徒の主体的な学びを促します。個別最低化学習の目的は、基礎学力の定着はもちろんですが、生徒が自分で主体的に学びを進められる習慣を身につけることが第一です。生徒の意欲を感化したり、学習の相談にのったりすることはAIにはできず、教師は教える立場から生徒の主体性を引き出す存在へと役割を替えて学びをサポートします。
Interview
数学教諭
小森隆浩先生
今まで生徒が「わからない」と問題を持ってきたとき、教師は解き方しか説明できませんでした。しかし、AI教材を使うことで、実はこの生徒は分数の計算が苦手だったという原因が明確にわかるようになり、生徒へのアドバイスも変わってきました。生徒自身も自分の苦手を知ることで学習が進めやすくなったと思います。一人ひとりのペースや理解に合わせて学べる時代になり、AI教材を上手く取り入れながら一斉授業と個別最適化学習を進めていきたいと考えています。
リツモリでは2022年よりAI教材を利用した放課後自習室「TERAKOYA」もスタート。ここでは生徒が自分で計画を立てて学習を進めていきます。教室には、生徒たちの学習をサポートするメンターがいて、気軽に質問したり、学習の進め方について相談したりできます。
さらに立命館大学では、2024年度よりAI教材による個別学習を取り入れた新たな入試制度「UNITE program」が始まりました。これは、入学後の学部での学びに特に重要な指定単元を高校のうちからAI教材で学習し、すべての単元の習得認定試験に合格・修了することで出願資格を得られるもの。目標を持って自学できる生徒を評価する入試も始まっています。
ノートパソコンとタブレット端末で
1人2台環境をスタート!
リツモリでは、さらにレベルの高いICT教育をめざして、2023年度の高校1年生からタブレット端末に加えてノートパソコンを使用する1人2台環境を取り入れました。社会では、デジタル技術を活用して新しい価値を創造するDX人材が求められており、高校生のうちからノートパソコンも使うことで高度なITスキルの習得をめざします。
学び方が変わると
学びの環境も変わる
600×600サイズの机を採用
教科書、ノート、タブレットにパソコンを加えた学習スタイルになれば、これまでの机ではスペースとして限界があります。そこで、タブレット+パソコンを導入する高校教室には600×600サイズの机を導入。また、この机の導入により正方形でどの面にでも座れることで正面性がなくなり、これまでの正面を向いて先生の授業を受けるスタイルの脱却も推進します。さらに、複数人数の机を組み合わせるグループワークでの使用時なども格段に使いやすくなり、学びの世界が広がります。
具体的には、ビジネスで使用されている「Microsoft 365」や「Google Workspace」、プロのデザイナーやクリエイターが使用する「Adobe Creative Cloud」、ゲーム開発環境の「Unity」、さらにはiOSアプリの開発環境「Xcode」などを用いて、Webコンテンツや動画などのデジタルクリエイティブスキルと、データサイエンスやプログラミングを用いたアプリ・ゲーム開発のスキルを身につけます。こうしたITスキルの習得を通してノートパソコンとタブレット端末を活用し、生徒たちがテクノロジーでできることを最大限に広げて、自分たちも社会を変えていけるという「GAME CHANGER」のマインドセットを養います。
授業紹介
Interview
情報教諭
伊藤久泰先生
タブレット端末よりもノートパソコンはできることが多く、さらにその両方を使うことで生徒のクリエイティビティを伸ばすことができます。特に高校では文章作成、映像編集、研究・調査、プログラミングなど学んだことや自分のアイデアをアウトプットする学習が増えており、いかに相手に説得力を持って伝えられるか、アイデアを形に変えるアウトプットの精度を高めていくことが重要だと考えています。その点、ノートパソコンはアウトプットに優れており、社会でも通用するスキルを早い段階で身につけて、自分の武器にしてほしいと思います。テクノロジーを活用すれば自分も社会を変えられるかもしれないとポジティブな経験をしてもらいたいです。
1人2台環境で学び始めたばかりの高校1年生たち。化学の授業では、調べた内容を発表スライドにまとめるときにノートパソコンを使用していました。机には教科書やノートを広げ、タブレット端末ではデジタル教材を提示。紙とデジタル、両方の情報を扱いながら、必要な部分を「Microsoft PowerPoint」のスライドにまとめていきます。タブレット端末をViewer(ビューア)として活用できることで情報の一覧性も増し、1台で作業をするよりもスライド作成を効率的に進めています。
リツモリではさらに高校3年生で、美術とテクノロジーを融合した「メディアデザイン」も学びます。この授業では、クリエイティブの現場で活躍するプロを講師に招き、生徒はプロが使用する動画ツール「Adobe Premiere Pro」を使って本格的な動画編集を体験します。効果音をどのように使えばシーンにメリハリができるのか、またジャンプ率をどのように使えばテキストは工夫できるのか。プロから直接指導を受けながら、ITスキルだけでなく、プロがもつアート的な感覚も学んでいきます。