2014年、タブレット端末の導入から始まったリツモリのICT教育。
以来10年、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら指導方法を模索し、教育環境を整備してきました。
その間、校外の状況も大きく変化しました。
テクノロジーは目覚ましい発展を遂げ、DXも推進されつつある現在、
ICT技術はもはや必須スキルの一つであると言えます。
そのような中、リツモリのICT教育は次のステージへと進みます。
より高度な創造性を育むデジタルクリエイティブ教育。
その目指す先は―――

Part.3 ICT教育から見えた、
リツモリが大切にしたいもの

教師主導から生徒主体の学びへ。
その手段として2014年にタブレット端末を導入し、
ICT教育を進めてきたリツモリ。
10年を経過した今、
リツモリの学びで大切にしたいものが見えてきました。

「好きなこと」や「やりたいこと」を
見つけられる学校へ

ICT教育に取り組んでから10年。リツモリは数え切れないほどのチャレンジを積み重ね、教育の質を一段と高めてきました。この時を経て言えることは、生徒たちが自分の目標ややりたいことに向かって生き生きと学ぶようになったということです。ICTはツールでしかありませんが、生徒の学びの相棒となり、生徒同士のコラボレーションを多く生み出し、学校文化の一部を築きました。

こうした生徒たちの変化を見て、学校はもっと変われる。そう考えています。生徒たちが様々な挑戦や失敗を経験しながら、一人ひとりが興味・関心を広げ、自分の「好きなこと」や「やりたいこと」が見つけられる学校へ。生徒の原動力を刺激し、学ぶ楽しさを実感できる学校へと進化させていきたいです。

今は、人生100年時代。生徒たちは社会に出てからの職業人生が長く、仮に60歳で仕事を退職しても余生が40年もあります。テクノロジーの進化も早いため、若い頃に学んだ知識やスキルは古びてしまい、自分で学びながらアップデートしていくための「学び続ける力」が重要だと言われています。そのためには、10代のうちに挑戦や失敗を多く重ねて、学ぶことで成長できるというポジティブなマインドを学校で育てていくことが重要です。

一方で、長い人生だからこそ、ウェルビーイング(幸福)や自分自身の満足感を大切にしながら生きていくワークライフバランス(※)の重要性も高まっています。同世代が同じような働き方で生きていく時代はとっくに終わり、今は、転職でスキルアップをしたり、社会人になってからの学び直しをしたり、自分の判断で長い人生の幸福を追究していく時代です。

こうした人生を幸せに歩むためには、自分の「好きなこと」や「興味あること」をいくつも見つけ出し、人生を楽しめる引き出しをたくさん持っておくことが大切です。リツモリではそんな未来も見据えて、生徒たちが興味・関心をさらに広げ、「好きなこと」や「やりたいこと」を見つけられる学校でありたいと考えています。

生徒の好きを伸ばす
リツモリの探究学習

長年リツモリが力を入れている探究学習は、生徒たちが興味・関心を広げ、学びの原動力や知的好奇心を刺激し、学ぶことの楽しさを感じられる学習のひとつです。特にICTを活用するようになってからは、アウトプットが多様になったほか、研究・分析手法も効果的に行えるようになり探究の質があがりました。米の収穫の際にドローンで撮影したり、大学の研究室や専門家とつながって探究を進めたり、教師も生徒もできることが広がり、互いにやりたいことができる探究学習へ変わってきています。

生徒たちの探究学習を紹介

理数探究:せきもとさん、たなかおおすけさん、たかだまなとさん

AIが女性の似合う服をリコメンドするWebサイト「FASION診断」の開発

女性の写真を入れるとAIが顔を認識して、その女性に似合う服をWebサイトから抽出し提案してくれるツールを作成しました。プログラムの開発、企業との交渉、発表資料のデザイン制作とそれぞれの得意分野を生かして役割分担しながら制作を進めました。自分たちでアイデアから企画し、もっと良いツールにできないかと考えて、アパレル企業などがネット上に公開している画像データを使用させてもらえないかと企業に交渉中です。

コンフォートゾーンから抜け出せ!

タブレット端末の導入、教師主導の学びを変えるパラダイムシフト、AI教材を用いた個別最適化学習、コロナ禍のオンライン授業への切り替え、ノートパソコン導入による1人2台環境……どれも新しい試みを始めるときは、失敗への恐れや不確実性がつきものですが、リツモリは「GAME CHANGER」の精神を大切にここまで革新的な取り組みを進めてきました。

この挑戦がなければ、学びの可能性は広がらないことを考えると、教育においてもコンフォートゾーンから抜け出してチャレンジしていくことが大切です。本当の成長は、自分たちがいる場所ではなく、いつも一歩外にある。リツモリはこれから先の10年も新しいことに挑戦し続け、生徒の可能性をさらに引き出す学びをつくっていきます。

Interview

副校長
箭内健先生

先生が指示を出して、みんなが同じ内容を同じように学ぶ。そんな学校の常識を抜本的に変えていかないと生徒たちの未来は広がらない。そんな想いで新しい挑戦を繰り返してきました。学校は先生や友達との出会いがあり、社会とつながるICTがあり、刺激し合って学び合える場です。もっと生徒たちはクリエイティブに、イノベーティブになれると信じていますし、「自分は何が面白いの?」「何が楽しいの?」と価値観を広げることもできる場でありたい。学校は長い人生を生きていくための宝物を探す場所にしてほしいと考えています。

デジタルの活用で、
今あるべき学校教育の姿を追求する

デジタルで学び方が変わる