林立する奇峰、濃霧に覆われた渓谷。
山水画のような幻想的な風景。

映画「アバター」のモデルとなった世界遺産「武陵源(ぶりょうげん)の自然景観」は、中華人民共和国湖南省張家界市(ちょうかかいし)にあります──。こういうと、いかにも見てきたかのごとく思われそうですが、このネタは現地ガイドから聞いた情報です(帰国後に写真を見て魅了されました)。

その張家界市から約300キロ東に位置する湖南省の省都長沙市(ちょうさし)を、この度、訪問する機会がありました。目的は、長沙市博納第二附属高級中学(1)との教育交流協定締結です。

長沙博納二附中は、イオンワンパーセントクラブ・ティーンエイジアンバサダー(2)を通じてご縁ができた高校です。当校は2016年設立の新しい学校ですが、北京大学や清華大学への進学実績を有し、国や市から数多くの表彰を受けている新進気鋭の高校です。

今回の教育交流協定締結にあたり、私は不思議なご縁を感じました。

第一に、公立高校が私立高校に移管して誕生したという、本校との共通点です。前身の湖南師範大学第二附属高級中学(国立)が博納教育集団(学校法人)に移管して誕生した当校は、より自由な教育展開をめざして私立への転身を決断したとのことです。本校は、前身の守山市立女子高校が学校法人立命館に移管して誕生しましたので、その意味で大変親近感を覚えました。

第二に、滋賀県と湖南省が友好提携を結んでいる点です。中国を代表する淡水湖である洞庭湖の南に位置する湖南省は、1983年に滋賀県と友好提携協定を締結し、昨年40周年を迎えました。琵琶湖と洞庭湖、ともに両国を代表する淡水湖を擁するという点で共通していますが、湖南省は面積で滋賀県の52倍、人口で48倍とスケールでは圧倒されています。人口密度(人/平方キロメートル)だけが、滋賀県354、湖南省324と近似しており、唯一救われました(笑)。

第三に、滋賀県と湖南省が共に戦国時代の舞台であったという点です。周知の通り、滋賀県は戦国時代に織田信長や豊臣秀吉をはじめとする戦国大名達が覇権を争った土地です。一方、湖南省は、中国の春秋戦国時代には楚(そ)が、三国志の時代には呉(ご)が存在した土地で、漫画「キングダム」や映画「レッドクリフ」の舞台となっています。ついでに言うと、漢詩「漁夫辞(ぎょほのじ)」で有名な屈原(くつげん)の出身地であり、詩人杜甫(とほ)の最期の流浪地とも言われています。

今後、歴史的・地理的に壮大なスケールを背景に持つ長沙博納二附中との教育交流協定を通じて、未来を担う生徒たちが日中平和友好のアンバサダーとして、両校間での相互訪問・交流、共同プロジェクトに積極的に参加することを期待しています。

なお、イオンワンパーセントクラブのご支援により生まれた日中生徒の友情は、相互のホームステイを通じてよりいっそう強いものとなりました(3)。

(1) 長沙市博納第二附属高級中学サイト
https://www.hnsd2fz.com

(2) 公益財団法人イオンワンパーセントサイト
https://aeon1p.or.jp/1p/international/highschool/

(3) 本校サイトTopics
https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2024/07/24/post-125557/
https://www.mrc.ritsumei.ac.jp/2024/10/23/post-139388/